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乳がん臨床検体を用いたがん幹細胞の現状と解析手法

 私たちのグループでは、金沢大学附属病院、東京大学医学部附属病院、南町田病院より規定の倫理審査や患者のインフォームドコンセントを経て提供された乳がん臨床検体を利用できる環境を整えています。がん幹細胞はアノイキス(anoikis)抵抗性を有していることが知られており、増殖因子を含む無血清培地で培養することにより、スフェアとよばれる直径100μm程度の球状浮遊細胞塊を形成する特徴があります。乳がん臨床検体から分取した細胞を用いてスフェア培養を行うことにより、乳がん患者さん由来の乳がん幹細胞を濃縮できると考えています(Tumor sphere culture)。
乳がん患者さんから摘出された新鮮な乳がん臨床検体は、ヒト生体内の状態をそのまま反映していると考えられるため、生体内での乳がん幹細胞の分子機構の解明につながる情報が得られることが期待されています。Patient-derived xenogaft (PDX)は免疫不全マウスの乳腺脂肪下にヒト乳がん組織を移植して作製したマウスモデルであり、マウスの生体内でヒト乳がんを再現することができます。
 これらの手法を駆使し、乳がん幹細胞特有のシグナル伝達の解明を目指しています。

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